《町家・民家の再生》

京町家の再生が脚光を浴びていることは、長い時間かけて醸成されてきた伝統構法が現代に息づいている証拠でもあります。クカニアの建築設計の原点とも言える京町家の再生技術には、
数多くの知恵と工夫が埋もれています。その一つ一つを丁寧に現代に活かすように、再生技術を積み重ねています。改修実例を紹介します。
■ 祗園いふき ~祇園の町家を本格改修してこだわり炭火焼き~
この祇園の町家は、幾度となく改修が施してありました。今回は構造からの本格的な改修ですが、両隣接町家との取り合いの関係から、これは難しい作業でした。
町家固有の階高が低いので、天井面のとり方に工夫を凝らしました。また奥庭と店舗内との光の関係にも苦心をしました。
オーナーの意向で、祇園守り(白いムクゲ)が7月中旬に咲きます。この奥庭からの奥座敷とカウンターへの光は、この店の第2のご馳走です。 椅子席にして、お陰でお客様がゆっくりと食事を頂けるようになりました。また、店主の奥様の陶器へのこだわりが、随所に出ています。男子トイレの便器は特注の製作物です。
町家固有の階高が低いので、天井面のとり方に工夫を凝らしました。また奥庭と店舗内との光の関係にも苦心をしました。
オーナーの意向で、祇園守り(白いムクゲ)が7月中旬に咲きます。この奥庭からの奥座敷とカウンターへの光は、この店の第2のご馳走です。 椅子席にして、お陰でお客様がゆっくりと食事を頂けるようになりました。また、店主の奥様の陶器へのこだわりが、随所に出ています。男子トイレの便器は特注の製作物です。
■ Mt 邸 ~風が通る 庭を楽しむ家~
築100年の町家です。柱・梁の付け替え・補強を施して立派に蘇りました。間取りはほとんど変更せず、水廻り棟は、やり替えました。庭と座敷との関係を尊重し、庭にあった昔の庭素材を活かして再現しました。ダイニングには床暖房、リビングには深夜電力を用いた輻射熱暖房を用いています。玄関の高低さを縮め使いやすくしました。
■ Nn 邸 ~「離れ」を賃貸物件として再生~
幼い頃に過ごした記憶を大切にするために、町家再生に踏み切りました。母屋を別荘としての利用目的のため、離れを壊すことを検討しましたが、路地奥の賃貸住宅として事業化を行いました。再生事業資金の調達という面から成功した事例です。コブシの株立ちの庭がきれいです。
■ Yz 邸 ~改めて町家の良さを認識~
お施主さんは、当初、購入した家が京町家であることに気付いていませんでした。改修できる建物だという認識程度でした。それが、改修の打合せの回を重ねるごとに、超スピードで京町家のことについて学習しました。当初、出格子をやめて駐車場にするつもりでしたが、駐車場をやめて元の原型の町家のファサードにしました。
■ Ym 邸 ~継承された民家を壊すことが忍びなくて~
築200年の民家を壊すことが忍びなく、東条湖から京都まで訪ねて来られました。大工さんを地元でというリクエストに職人さん達との手探りの状態が ありました。夏は涼しくて良いのですが、冬の寒さ対策に気を使いました。縄で組まれた小屋組みまでは改修できずに、屋根の補修で次回にまわしました。背後の山の地下水が床下に浸み込んでいることを止水しました。
■ Og 邸 ~出来るだけ昔の不便さに戻る~
長屋の一つを購入して再生を行いました。京都の文化への憧憬と現代便利社会への反省から、住むことの基本を考えました。リビングは椅子生活で浴槽はネコ足の西洋浴槽です。長屋であるための制約を克服して、快適な生活空間を確保しました。この路地は、こうした実験的な試みの住人が多く集積しています。
■ Fj 邸 ~古民家の質感に負けない増築~
築230年の民家の増改築です。構造補強と新旧の増築部分に神経を使いました。ヒノキの縁甲板の廊下など昔のイメージを残しつつ、現代生活が快適に営めるような配慮を行いました。おくどさんを残しながら、現代システムキッチンを入れ、古いものと新 しいものの共存を図りました。外観は230年前の姿そのままです。
■ At 邸 ~仕舞屋町家の本格的改修~
元々の町家としての保存状態が良いことと、レベルの高い職人技が随所に見られる京町家でした。原型に忠実に再生を試みました。ハシリは準棟纂冪(じゅんとうさんぺき)を残しながら土間を元に戻し、井戸を復活しました。祭りごとに用いる提灯立ても再生しました。蔵横の空地に2畳台目の小間を建てました。蔵も再生しています。
■ Im 邸 ~町家の暖房に薪ストーブを入れました~
100年以上の京町家の改修です。「暗く・寒く・使 いにくい」町家に思いきって、薪ストーブを入れま した。火袋が高くても、火力の強い直接暖房で、2 次燃焼して完全燃焼します。快適なリビングの実現です。他の部位は、伝統に従った古典的空間にしました。玄関の井戸は、新しく掘って、日常的に使っています。座敷や庭も原型に忠実に再生しました。 建具も古建具を使いました。新しい町家再生の方法の一つです。
■ 京宿 枩邑(まつむら) ~京町家の伝統をゆっくり味わっていただきます~
広い土間を玄関ロビーに使いました。座敷はそのまま宿泊室にしました。奥庭の景色がご馳走です。ゆったりとした居室もご馳走です。バーを設け、くつろいで頂きます。浴室はユニットバスです。町家暮らしを十分に味わっていただきます。HPで誘客しています。伝統町家を活かしたビジネスです。
■ Nk 邸 ~京町家ファンド第1号です~
この建物の再生は、京都市の『京町家、まちづくり ファンド事業助成金』を受けた第1号です。これは 京町家を活かした建物に対して、外観と内部で公的利用に供する部分の工事費に対して交付される補助金です。お施主さんは長年携わってきた『食育』を発展させたサロンを、この再生町家で行なっています。
■ 八百林 ~老朽町家を再生して果物店に~
八百林は、高級くだもののお店ですが、旧の店舗はいささか時代おくれになっていました。店舗ビルの隣の老朽化した空町家を再生して店舗としました。お施主さんは、まさか壊すしか方法が無いと思っていた町家が再生され、しかも店舗の付加価値を上げたことに喜んでいます。新鮮なジュースを販売する「みつばちハッチ」が内部に入っています。
■ ル・サルモンドール ~町家でワインとフレンチ~
「ル・サルモンドール」は、祇園新橋の辰巳神社の向いにあるワインとフランス料理のお店です。窓から眺める白川は、お店の料理を最高に引きたてる祇園新橋の風景です。和室にあるケヤキの一枚板のカウンターでフランス料理を新鮮な気分で味わうことができます。2階は、少人数での会食に相応しい座敷とワインバーになっています。
■ Mr 邸 ~民家の水廻りの改修~


京都郊外岩倉にある民家の水周りの改修です。岩倉にあるMs邸を見ての改修依頼です。質の高い無垢材を用いて、伝統的な外観を保ちながら快適な水周りを求めました。キッチンは、洗い場を目隠ししています。トイレには、小便器を設け男子の復権を果たしています。浴室は、ユニットバスで主婦の労力を軽減しています。現代生活に合わせた水周りの改修を、基本に忠実に行いました。
■ Tko 邸 ~民家を改築して快適な住まいに~


そう古くない民家を世代交代に合わせて改修しまし た。新しく奥様の希望を取入れて、キッチンは使いやすい対面キッチンです。2 階は若夫婦の生活空間で、1 階はお爺さん夫妻の空間です。そうした機能分離を実現するために、多少の増築を行いました。3 世代が同居する1 軒の民家です。日本の田舎の伝統的な家の継承方法です。
■ Sgw 邸 ~おくどさんを美しく残す~


300年前の町家の再生です。勾玉型のおくどさんが大変お気に入りで、このおくどさんを活かすことを中心に設計が進められました。床にイタリアンタイルを貼り、床暖房を施しました。おくどさんは、ロートア イアンとガラスのテーブルにして食卓としました。吹抜けを活かして、ゴロンボの梁を見せて、広がりのある空間にしました。温故創新の精神が活かされた建物です。改修前の暗さを解消するために、トップライトを上部に設け、トップサイドライトも付けて明るいダイニングにしました。
■ Ht 邸 ~民家の屋根形状を大切にしました~


200年前の民家の再生です。茅葺のフォルムを活かして、新しい民家の快適さを求めました。屋根は瓦に置き換えて、茅葺の厚みを出すために補強の小屋組を入れました。一部梁が高さが低いので、梁の付け替えを行いました。キッチンやお風呂は、最新の設備で快適な現代生活を実現しました。古い民家が見事に蘇生しました。
■ In 邸 ~伝統に忠実に再生~


In邸はお茶関係の仕事柄、収納物が大変多いのです。そのために、改修の目的はこの道具類の収納を確保することが重要でした。甲斐あって、余裕の収納を確保することができました。
■ 澤井醤油本店 ~京都の景観に寄与しています~
明治12年創業の澤井醤油本店は、120年の風雪を経て今蘇りました。息子さんが次世代を継ぐことに なり、京都市の歴史的意匠建造物に指定されたことがきっかけとなって、再生することになりました。今回の改修では、元々の店舗の原型に忠実に戻すことを重視しました。 黒ずんだ壁を塗り替え、柱梁の汚れを取り、使い込んだ石畳を並べ替え時間の経過によって味のでた素材を活用しました。店の売場は、昔ながらの売り方にしました。
■ Ng 邸 ~長屋2軒を1軒にして住む~


2 軒長屋を1 軒として改修しました。玄関土間、キッ チン、洗面室を機能的に配置し、屋外のベランダからの光を有効に活用した、広がりのある室内空間にしました。浴室にはハーフユニットバスを用い、ヒノキの香りのする癒しの空間としています。コンパクトに纏まった町家改修です。
■ Ms 邸 ~民家の母屋を世代交代で改修~


長年出張の多いご主人は、家の住まいのことはほとんど意識していませんでした。退職を前に、人生の後半の生活スタイルを考えたときに家のことが大きな課題となりました。しかし、長年住んだ家への愛着で、どのように使ったら良いかと迷いました。山の檜を伐採して、既に用意してありました。多方面からの検討の末、現在の改修方針となりました。
■ 福原商店倉庫 ~昭和の古家を再生~
福原商店の資料庫は、昭和29年に建てられたモルタル木造2階建でした。1階は、資材庫でしたが、駐車場の不足から、隔壁のブロックを除去していまし た。1階に壁の無い、不安定な構造となっていました。2階は、物捨て場的な倉庫として使われていました。この、老朽化した木造を再生して、全く新し い空間が出現しました。経営者、従業員共に、この「愛のある改修」=「解体新築よりローコストで出来て、温かみのある空間」に満足しています。
■ Kt 邸 ~藤井厚二氏設計の家の再生~


昭和2年に、建築家『藤井厚二』氏によって設計された、木造住宅の再生及び増築です。風情のある美しい住宅ですが、現代生活を営むには、和室ばかりで生活し難い状況でした。 今回の改修計画ではOMソーラーを用いて家全体をパッシブソーラーシステムとしました。又、手を付けにくかった藤井氏の設計部分の東側1/3 を思い切って切断し、その部分を再度同じ外観形状で増築しました。さらに、新築の増築部を北側部に「離れ」的に増築をし、フローリングの書斎と寝室を設けました。
■ 中村工房 ~町家再生賃貸事業~
路地裏の敷地30坪の長屋の一部を賃貸事業資産として再生しました。1階の前面は美容院へ賃貸。1階の奥は、賃貸住宅。2階の前面はお施主さんのオフィス空間。2階の奥は賃貸住宅。間口2間半のうなぎの寝床の京町家は、ローコスト投資の事業用資産となりました。 1階の美容院は、ワインバーを供えた予約制。奥の住宅賃貸部は、コンクリートマンションとは異なる京都の中庭を持つ木造マンションとでもいえます。京都ならではの、仮住まいが人気です。
■ Tku 邸 ~名古屋民家を改築して3世帯同居~


戦前に建てられたこの建物は、病院建築の住宅部でした。この家で育ち還暦を迎えたご主人は、子供の代に繋ぐために改修を計画しました。3世帯がこの家を使っています。世代交代をすでに2回繰り返されています。改修にあたっては、シロアリ問題が大問題でした。結局、「引家」と呼ばれる手法で、一度建物を上に持ち上げて横に置き、基礎を新たに設置し、それから元に戻しました。その後、シロアリ被害を受けていた1階の全部の柱を取替えました。2階の床から上部が既存の部材を用いています。
■ 八坂の塔 ~長屋を改修して不動産販売~


八坂の塔のすぐ近くの露地奥の長屋を再生して、京町家の再生商品として不動産屋さんが売り出しまし た。反響が大きく、オープンハウスでは再建不可(4m道路に接していないために) にもかかわらず多くの見学者が訪れました。敷地36.33㎡ (11 坪)、述べ床面積 47.26㎡ (14.3 坪) という極少住宅にもかかわらず、3LDK にベランダ付きの住宅としています。外観を周囲に調和させ、露地の風景に溶け込んでいます。
■ Nkm 邸 ~改修して改めて母屋に住む~


400坪以上の敷地内には、息子さん夫婦が別棟に住んでいます。母屋は昔ながらの土間におくどさんがある、「四つ目建ち」の民家ですが、多くの滋賀県の民家と同じく使われない部屋がほとんどでした。家族団らんの居間は、暗く、寒く、使いにくい場所でした。 2階は厨子で、倉庫になっていました。この民家の全て空間を、生活に使う部屋として再生を図りました。多くの家族間での議論が、納得のいく改修の必要条件でした。
■ Fjs 邸 ~古民家にエレベーター設置~


築130年の民家は、15年前に大規模な改修を行っています。その改修が、しっかりと改修されていたために今回の改修はエレベーターの設置工事とそれに伴う居室の改修をおこなうだけで済み、構造的な補強は 必要ありませんでした。さすがに、電気系統は、容量不足と配線系統がR老朽化していたために、全面的な改修を行いました。エレベーターは民家の雰囲気を壊さないよう、無垢のローズウッドを仕上げに用いたエレベーターとしました。あたかも、昔からそこにエレベーターが存在していたかのように、調和のとれた改修を行うことができました。





































