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《日本の空間美学》

桂離宮(笑意軒)


■日本建築の必然性は「木」
《1》西洋建築の必然性
・「石」素材(尖塔窓、壁構法)
・積層構造
・峻烈な風土
・恒久文化
アイギーナのアテーナ・アパイアー神殿(復元)_ドーリア式
アイギーナのアテーナ・アパイアー神殿(復元)_ドーリア式
ノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂

《2》日本建築の必然性
・「木」素材(「柱」と「壁」)
・柱間の使い方( 建具の発達)
・温暖な風土
・仮宿文化
東大寺南大門
東大寺南大門
桂離宮
桂離宮




■日本建築のテーマは「自然」

 元来、建築はその地域の気候・風土と共に育まれてきました。西洋においては、気候条件や多民族が隣接しあう人間関係も含め厳しい環境にあり、日本に
おいては、気候が比較的温暖であり、単一民族の島国であったことが、異った文化を生むことになります。

《1》建築のテーマ:「神」と「自然」
 西洋建築発達の歴史は、「神」の「神聖」、「威厳」、「崇高」 をいかに表現するかを目指して発達してきました。一方、日本建築は、自然界との共生を無意識の内に培い、木・土・石・水 といった自然界の万物も人間も同胎であるという哲学に育まれてきました。


《2》自然観:「敵対」と「同化」
 自然環境の厳しい西洋では、「自然は克服すべき対象」と捉えられており、自然から身を守るために、建築物を構築する意識が強い傾向にあります。
仁和寺
仁和寺


《3》空間バランス:「シンメトリー(左右対称:完結)」と「ダイナミックバランス」
 西洋建築は、シンメトリーを「美」の基本としています。 全く左右対称であることに安心感を覚えます。これに対して、日本はこのシンメトリーを感覚的に受け入れませんでした。
 アシンメトリー(非対称:非完結) をダイナミックバランスと言います。
松本城
松本城


《4》素材:「石・レンガ」と「木」
 素材を積み上げて構成する建築づくりに半恒久性を与えた素材が、「石・レンガ」です。西洋建築のほとんどが、これらを建築素材として用い、石をいかに加工して組み立てるかの歴史でした。
 一方、日本建築の素材は「木」です。木材の加工方法の開発が、日本建築の発達の歴史です。現在伝統構法として多くの大工職人に継承さ れています。
清水寺舞台
清水寺舞台


《5》空間性:「分節」と「連続」
 西洋の部屋は、その用途・目的に応じて設えを設定しています。これに反して日本の部屋は、部屋の使用目的を出来るだけ確定せずに、多目的に使えるようにしています。
京町家座敷
京町家座敷


《6》外界に対して:「要塞・壁」と「生垣」
 厳しい自然と外敵から身を守ることが第一義である西洋文明の発達は、「要塞・壁」によって安全を確保してきました。 これに反して、日本の境界を示す手法は全く異なります。
大覚寺宝厳院
大覚寺宝厳院


《7》概念化:「足し算」と「引き算」
 概念を構築するに当って、西洋的な発想では表現する対象に不足するものを常に加えていく足し算の発想が内包されています。
 これに対して、日本的発想は「引き算」であり、 ものを出来るだけ凝縮し、簡略化し、残った本質を表現する方法を取ります。
昼神温泉石苔亭能舞台
昼神温泉石苔亭能舞台


《8》表現:「具体的」と「抽象的」
 西洋の芸術の発想は、目に見える「もの」を信じ、表現の対象としてきました。
 一方、日本の芸術の表現は、目にみえない「もの」、すなわち人間の内的な精神性を重んじてきまし た。それは、人間の心の目です。
上賀茂神社祈祷
上賀茂神社祈祷


《9》建設手法:「恒久文化」と「仮宿文化」
 西洋の建築は、石造りが前提になり、造る時から恒久的に存在する不動のものであり、そのもの自体がずっと存在し続けます。
 一方、日本の木造建築は、移設可能な建築文化であり、恒久的という思想を持ちません。移設を行う前提で建築されています。又、寺院でも住宅でも、改修により部分的に新しくすることによって命を長らえる持続性を持ちます。これは 「繕い文化」と言えます。
京町家軒裏改修
京町家軒裏改修




■日本建築の構成は「柱」と「壁」

《1》柱と壁
 日本は雨が多いことにより、雨露を防ぐ屋根の必然性が生じました。次にこれを支えるために、木の柱を用いました。屋根を支える最小限の柱の間は、全てが開口となり、ここに西洋のような壁の概念は全く存在しませんでした。
上賀茂神社土舎
上賀茂神社土舎


《2》建具
 外からの視線を遮るか否か、光を通すか否か、風を通すか否か、 音を遮るか否か、様々な要望により機能の異なる柱間の壁面を構成してきました。板戸、鎧戸、襖、障子、土壁、それらの多くは可動的であり、そのような建具を間戸(まど・窓のおこり) と呼んだそうです。内部建具は、部屋を自在に繋いで空間を可動的にさせる為のものでした。
上賀茂神社蔀戸
上賀茂神社蔀戸


《3》自然への同化
 柱間の解放によって生じた外部建具においては、内と外を融合させ自ずから自然界との共生・一体感を重んじる心や生活慣習を育んできました。光、風、音などによる日本特有の五感が育まれてきました。これが、日本の建築の基礎であり、 心であり底を流れるものと言えるでしょう。
京町家個人邸
京町家個人邸


《4》仮設文化
 日本の空間は、部屋の使用目的を特定しません。何もないところに仮説的な道具を設えることにより、始めて使用目的が決まります。目的性が固定されないことにより、どのように多様な対応も、使用する人の個性も合わせて可能となり得ます。先に述べたフレキシブルな壁面構成により、使用目的に応じた空間を自由にできることも含め、可変的であり動的であり自由なのです。
祇園「望月」
祇園「望月」




日本建築は、時にあずけ、自然にあずけ、自己を解放したところに全体があると言えます。















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